“優しい人ほど疲れてしまう”のはなぜ?

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― その疲れは、あなたが“感じ取れる人”だから ―

「なんで私ばかり、こんなにしんどいんだろう」
「誰かの気持ちを考えすぎて、心がぐったりする」
そんなふうに感じることはありませんか?

実は、“優しい人ほど疲れやすい”のには、ちゃんとした理由があります。
それは、あなたが「感じ取る力」に長けているからかもしれません。

■ HSPという気質

HSP(Highly Sensitive Person)という言葉を耳にしたことがあるでしょうか?
これは、「とても繊細で、刺激を深く受け取りやすい人」を指します。

HSPの特徴には、たとえばこんな傾向があります:
– 人の表情や声色の変化にすぐ気づく
– 相手の気持ちを汲み取ってしまう
– 感情移入しやすく、心が揺さぶられやすい
– 一度に多くの情報を受け取って、頭も心もパンパンになりやすい

誰かが落ち込んでいたら、まるで自分ごとのように感じてしまう。
それが“優しさ”であり、“共感力”であり、でも同時に“疲労の原因”でもあるのです。

■ 共感疲労(エンパシー・ファティーグ)とは

特に人を支える立場にいる人(医療・看護・教育・福祉など)に多いのが「共感疲労」です。

これは、他者の苦しみや悩みに寄り添う中で、自分自身も疲弊してしまう状態のこと。
「助けたい」「力になりたい」という思いが強い人ほど、相手の感情を背負い込んでしまいがちです。

とても健全で、愛ある姿勢ですが、気づかないうちに心のエネルギーを消耗してしまうのです。

■ どうしたらラクになれる?

ここからは、優しいあなたが「自分を守るため」にできるヒントをご紹介します。

① 相手の感情と、自分の感情を分けてみる

誰かの悲しみに共感することと、それを自分の悲しみとして背負うことは違います。
「これは“あの人の気持ち”。私は今、それを“感じている”だけ」
そう自分に声をかけてあげましょう。

② “できること”と“できないこと”を切り分ける

優しい人ほど「全部助けたい」と思ってしまいます。
でも本当は、「できること」だけで十分です。
背負いすぎないために、自分の限界も大切にしましょう。

③ 一人になる時間をつくる

共感力の高い人は、無意識にまわりのエネルギーを受け取っています。
静かに一人で過ごす時間を、日々の中で意識して持つようにしましょう。

たとえば:
– 好きな香りで深呼吸
– 自然の中を散歩する
– 心がほどける音楽を聴く
– 頭を空っぽにする“無音”の時間を楽しむ など

■ あなたの優しさは、あなたの魅力です

「疲れやすい」と感じるのは、決して弱さではありません。
それだけ人の気持ちに寄り添える、尊い感受性があるということ。

どうか、自分をいたわることを忘れずに。
あなたが自分自身にやさしくなれたとき、
その優しさはもっと穏やかに、もっと自由に、周囲へと届いていきます。