フジテレビが前社長らを提訴したニュースを、今度は「心理学」の視点から見てみましょう。
「結局は前社長を悪者にして、会社は自分を正当化しているだけなのでは?」と感じる背景には、私たちの心の仕組みが関わっています。
1. 人は「誰のせいか」を探したくなる
心理学では、不安や混乱が起きると人は “責任を取るべき相手” を探す傾向があるとされます。
これがいわゆる「スケープゴート(生け贄)心理」。
誰かを悪者にすることで、状況を整理し安心感を得ようとする心の働きです。
2. 組織も同じ心理で動く
この心理は、個人だけでなく組織にも働きます。
会社が不祥事を起こしたとき「一部の経営者の責任です」と発表するのは、まさにスケープゴート化の典型例。
責任を組織全体で引き受けるより、特定の人物に押し付けた方が批判をやり過ごしやすいからです。
3. “心の整理”と“信頼回復”は別物
ただし、心理的に「悪者」を作ることで安心感は得られても、問題は解決しません。
本当に必要なのは、
- 事実を明確に整理する
- 被害者に誠実に向き合う
- 再発防止の仕組みを整える
といった構造的な改善です。
4. 人間関係にも通じる話
実はこの流れ、職場や家庭でもよく見られます。
トラブルが起きたとき、つい「あなたのせいでしょ」と相手を悪者扱いして終わらせてしまう…。
けれどそれでは関係は改善せず、同じことが繰り返されてしまいます。
つまり企業不祥事対応も、人間関係のトラブル解決と同じで、“誰が悪い”より“どう変えるか”が大切なのです。
まとめ
フジテレビの提訴は、スケープゴート心理を組織レベルで実行したものと見ることもできます。
しかし、信頼を回復するには 「悪者を決める」ではなく「組織を変える」 という姿勢が必要です。
これは企業だけでなく、私たちの日常の人間関係にも通じる教訓といえるでしょう。