安心すると、見えてくるものがあります
人は安心できると、物事の見え方が少し変わることがあります。
以前公開した
の記事も、あわせてご覧いただくと、今回の内容がより伝わりやすくなるかもしれません。
「どうしたらいいんだろう。」
仕事での出来事、人間関係、家族のこと、将来への不安。
一つのことが気になり始めると、何度も同じことを考えてしまう。
「あの時、違う言い方をしていたら。」
「本当は嫌われているのではないか。」
「もっと良い方法があったのではないか。」
頭の中で何度も同じ場面を思い返し、気付けば数時間が過ぎていた。
そんな経験はありませんか。
「考えても答えが出ないことくらい、自分でも分かっている。」
それでも考えることをやめられず、疲れ切ってしまう。
心理学では、このように同じことを何度も考え続けてしまう状態を「反芻思考(はんすうしこう)」と呼ぶことがあります。
もし今、そのような状態なら、まずお伝えしたいことがあります。
あなたがおかしいわけではありません。
むしろ、それだけ真剣に生きてきたからこそ、心は答えを探し続けているのです。
私は精神科で18年以上、多くの方と関わってきました。
そこで感じるのは、苦しみやすい方ほど、決して「弱い人」ではないということです。
責任感が強く、人を大切にし、自分の言動を振り返ることができる。
だからこそ、
「間違えたくない。」
「相手を傷つけたくない。」
「ちゃんとしなければ。」
という気持ちが強くなります。
その姿勢は、本来とても大切なものです。
しかし、その優しさや真面目さが、自分自身を苦しめてしまうこともあります。
今回は、「答えを出そうとしすぎて疲れてしまう心」と、少し違う角度から向き合ってみたいと思います。
※今回のコラムは前編・後編の2部構成です。
考えることは、悪いことではありません
「考えすぎですよ。」
そんな言葉を掛けられて、少し傷ついたことはありませんか。
でも私は、「考えること」そのものが悪いとは思っていません。
私たちは考えることで、
失敗を防ごうとします。
大切な人を傷つけないようにします。
より良い選択をしようとします。
つまり、考えることは、自分や誰かを守ろうとする自然な力なのです。
だから、
「考えすぎる自分はダメなんだ。」
と責める必要はありません。
本当に苦しいのは、「考えること」そのものではなく、考えても安心できない状態が続いていることなのです。
人は「答え」を探しているようで、「安心」を探している
ここで、一つだけ視点を変えてみたいと思います。
私たちは、
「答えが見つからないから苦しい。」
そう考えがちです。
でも、本当にそうでしょうか。
例えば、
「あの人は怒っていたのだろうか。」
「嫌われてしまったのだろうか。」
そんな時、人は頭の中で何度も会話を再生します。
「ああ言えば良かった。」
「いや、この言い方なら違ったかもしれない。」
一つ答えが出たと思っても、また新しい不安が現れます。
すると、また考える。
そして、また不安になる。
その繰り返しです。
もし本当に「答え」が目的なら、一度答えが出れば終わるはずです。
でも実際には終わりません。
なぜでしょうか。
私は、その理由はとてもシンプルだと思っています。
私たちが本当に探しているのは、「答え」ではなく、「安心」だからです。
「大丈夫だったよ。」
「そのままでいいよ。」
「一人で抱えなくても大丈夫。」
そんな安心が心に届かない限り、人は何度でも答えを探し続けてしまいます。
答えが欲しいのではなく、不安を終わらせたい。
そのために、考え続けてしまうのです。
このことに気付いた時、私は精神科で出会った多くの方の姿が、少し違って見えるようになりました。
安心すると、答えを急がなくなる
以前、HARUBERRYのコラムで、
についてお話ししました。
安心できる人と話した後、
問題が解決したわけではないのに、
「少し気持ちが楽になった。」
そんな経験はありませんか。
不思議ですよね。
何も解決していないのに、心だけは少し軽くなる。
それは、
安心したから答えが見つかったのではありません。
安心できたから、答えを急がなくなったのです。
私は、カウンセリングでも、この順番をとても大切にしています。
人は安心できると、視野が少し広がります。
目の前の問題しか見えなかった心に、少し余裕が生まれます。
すると、
「そんな考え方もあるのか。」
「もう少し様子を見てもいいかもしれない。」
という、新しい見方が自然と入ってくるようになります。
反対に、不安でいっぱいの時は、どれほど良いアドバイスを受けても、なかなか心に入ってきません。
それは、心が弱いからではありません。
安心する前の心には、「新しい考え方」を受け入れる余裕がないからです。
だから私は、カウンセリングで最初に目指すのは、「答えを出すこと」ではありません。
まずは、その人が安心して話せる時間をつくることです。
安心は、問題を消してくれる魔法ではありません。
でも、安心は、問題との向き合い方を少し変えてくれます。
そして、その小さな変化が、自分自身の力で前へ進むきっかけになることがあります。
後編はこちら
後編では、
- 紙に書く意味
- 心理的距離(セルフディスタンシング)
- ChatGPTを使った考えの整理
- HARUBERRYの「3つの円」
についてご紹介しています。
▶ 答えを出そうとしすぎて疲れてしまう人へ【後編】はこちら
あわせて読みたい
「安心すると、見えてくるものがあります。」
今回の記事では、その入り口についてお話ししました。
もし興味を持っていただけたら、こちらのコラムもぜひご覧ください。
きっと今回の内容とあわせて読むことで、「安心」と「心の整理」のつながりを、より深く感じていただけると思います。
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