「もう限界かもしれない」「朝、職場のことを考えるだけで気が重い」「辞めたいと思う自分は、甘えているのかな」。そんなふうに感じながら、それでも今日もユニフォームに袖を通しているあなたへ。
まず、伝えさせてください。「辞めたい」と思うことだけで、自分を弱いと決めなくて大丈夫です。その気持ちは、今の働き方や置かれている状況を見直すきっかけにもなります。
辞めるか、続けるか。すぐに答えを出す前に、「何から離れたいのか」「何が変われば少し働きやすくなるのか」を分けて考えてみませんか。この記事では、HSPという言葉に自分の感じ方が重なる看護師さんに向けて、迷いを整理する視点をお伝えします。
心身の不調が強いときは、結論を出すことより休息や相談を先にして構いません。ここにある問いに、全部答える必要もありません。
「HSPだから看護師に向いていない」と決める前に
看護の仕事では、患者さんの状態への注意、判断や確認、周囲との連携など、さまざまなことが同時に求められます。忙しさに加えて、強い口調や相手の反応が気になり、勤務後も緊張が続いてしまうことがあるかもしれません。
HSPは、刺激への感受性の高さに関する気質を表す言葉で、病名や診断名ではありません。感じ方には個人差があり、責任感の強さや断りにくさなど、すべてをHSPだけで説明できるわけでもありません。研究者が運営するSensitivity Researchの解説(英語)でも、感受性の特性と病気・障害は区別されています。
仕事のつらさは、その人の繊細さだけで決まるものではありません。人員配置、業務量、勤務時間、相談できる相手の有無によっても、負担は変わります。
だから、「HSPだから辞めた方がいい」「繊細だから向いていない」と結論を急がず、今の職場で何が起きているかを見ていきましょう。
「辞めたい」の中身を、3つの視点で分けてみる
同じ「辞めたい」でも、離れたいものは人によって違います。次の3つは、きれいに分類するためではなく、自分のつらさを言葉にする手がかりです。いくつかが重なっていても構いません。
1.人間関係や職場の雰囲気がつらい
質問するたびに相手の機嫌をうかがう。分からないことを聞きたいのに、強い口調で返されるのが怖い。仕事の内容以上に、「誰と勤務するか」で気持ちが揺れることもあります。
この場合は、「看護の仕事そのものを離れたい」のか、「この関係や環境から離れたい」のかを分けてみます。答えが出なくても、「患者さんとの関わりは好きだけれど、質問できない雰囲気がつらい」と書ければ、それも大切な手がかりです。
相手の反応を考え続けて消耗するときは、人の顔色をうかがってしまうときの疲れについてもお伝えしています。
2.業務量や働き方がつらい
夜勤の後も十分に休めない。担当業務に加えて委員会や調整役を引き受けている。勤務中だけでなく、休みの日まで仕事の準備が頭から離れない。
「もっと要領よくできれば」と考える前に、今の量や時間が自分にとって無理のないものかを見てみます。勤務回数、業務の分担、休憩や休みの取り方など、どこが変わると負担が減りそうでしょうか。
希望どおりに調整できるとは限りません。それでも、何を相談したいかが具体的になると、今の職場で確認することと、別の環境を考える理由を分けやすくなります。
3.自分を責め続けることがつらい
「もっとできるはず」「周りに迷惑をかけている」「自分だけが要領が悪い」。そんな言葉が、帰宅してからも頭の中で繰り返されることがあります。
ここでは、自分を責める癖だけを問題にしないことも大切です。実際に厳しい対応を受けているのか、慣れていない業務への支援が足りないのか、疲れて判断する余裕がなくなっているのか。自分の内側と、周囲の状況の両方を見てみます。
一人で考えるほど同じ場所を回ってしまうときは、答えを急がず心を整理する4つの考え方も参考にしてください。
「自分が弱いから」と決める前に、職場で背負っている役割を見る
たとえば、断りにくい人に仕事が集まる。周囲の機嫌を読んで動くことを期待される。「あなたならできる」と頼まれ、担当以上のことまで引き受ける。立場によって、意見の言いやすさが違う。
こうした役割や暗黙の期待が重なると、どこまでが自分の責任なのか分からなくなることがあります。HARUBERRYでは、このような関係や圧力の重なりを「空気構造」という視点から考えています。
私は2005年に看護師資格を取得し、大学病院で成人・小児医療に携わった後、2008年から精神医療の現場で働いてきました。看護管理職としての経験の中でも、立場や役割があるからこそ断りにくく、自分の役割以上のものを引き受けてしまうことがありました。
だからこそ、つらさを「もっと強くなればいい」と、その人の性格だけに返したくないと思っています。
「私は何に疲れているんだろう」「この職場では、どんな役割を背負っているんだろう」。そう問い直すことは、誰かを悪者にするためではなく、負担のありかを見つけるためのものです。
たとえば、業務の優先順位や分担を確認することと、相手の機嫌をいつもよくしておくことは別です。必要な連携を大切にしながらも、相手の感情まで一人で整え続ける責任を引き受けなくて構いません。
詳しくは、職場の言葉にされない圧力を考える「空気構造」と、境界線を取り戻すということでお伝えしています。
辞める・続けるを決める前に、整理したい3つのこと
今の働き方で、守れていないものは何か
眠る時間、食事、家族との時間、仕事から離れる時間。まずは「今の状態が続くと困ること」を一つ書いてみてください。
仕事の良いところを探して、つらさを打ち消す必要はありません。患者さんとの関わりを大切に思うことと、今の働き方が苦しいことは、同時にあってよい気持ちです。
何が変われば、続けることを考えられそうか
夜勤の回数、担当業務、相談相手、部署など、変わってほしい条件を考えてみます。「条件が変われば続けたい」のか、「今は考える力が残っていない」のかも、大切な違いです。
相談できそうな相手がいるなら、たとえば「この勤務が続くと休息が取れず、負担を感じています。勤務や業務分担について相談したいです」と、状況と希望を分けて伝える方法があります。これは伝え方の一例で、実際の相談事例ではありません。
直属の上司に話しにくい場合は、別の管理者や人事、産業保健の窓口など、職場で利用できる相談先を確認する選択肢もあります。相談すること自体が怖いときに、一人で交渉しなければならないわけではありません。
続ける以外の選択には、何を確認する必要があるか
休暇や休職、異動、勤務形態の変更、転職、退職。それぞれの選択肢について、利用できる制度、収入や生活への影響、頼れる人など、まだ分からないことを書き出してみます。制度や条件は勤務先などによって異なるため、個別の確認が必要です。
「辞めたいほど苦しい」と「今すぐ辞められるか分からない」は、矛盾ではありません。生活上の事情を含めて迷ってよいのです。
続けるなら、何を変えるか。離れるなら、何を確かめるか。今日は結論ではなく、「次に確認すること」を一つ決めるだけでも構いません。
眠れない・食べられない状態が続くときは、整理より相談を先に
眠れない、食欲が大きく変わった、涙が出る、休日にも回復した感じがしない。こうした変化が続いたり、仕事や生活に支障が出たりしているときは、HSPや気持ちの持ち方だけで説明せず、医療機関や産業医などへ相談してください。
この文章だけで、病気や「限界」を判断することはできません。苦しさが強いときは、上の問いを全部整理できていなくても、休息や支援を求めて大丈夫です。
職場以外の相談先を探したい場合は、厚生労働省の働く人向けサイト「こころの耳」にも案内があります。
職場でのいじめ・嫌がらせやハラスメントが関係している場合は、職場の外にある総合労働相談コーナー(厚生労働省)など、公的な窓口も選択肢です。電話や面談で無料の相談を受け付けています。自分だけで相手に説明したり、解決しようとしたりせず、利用できる支援を確かめてみてください。
あなたの価値は、今の職場に残るかどうかで決まりません
辞めることは負けではありません。そして、事情があって続けることを選ぶ自分も、責めなくて大丈夫です。
大切なのは、周囲に納得してもらうためだけに、自分のつらさを置き去りにしないこと。「辞めたい」と感じる理由に耳を傾けながら、自分にとって無理の少ない方向を探していきましょう。
あなたの人生は、あなたのものです。すぐに答えが出なくても、一人で決めきらなくても構いません。
もし今、誰にも本音を話せないなら
「家族には心配をかけたくない」「同僚には弱音を吐けない」「何から説明すればいいか分からない」。そんなときは、自分のペースで文章にしてみる方法もあります。
HARUBERRYの30日間LINE文章伴奏は、10,000円(税込)/30日間。LINEで言葉を交わしながら、気持ちや、その場の関係を一緒に整理する相談サービスです。
「辞めるべき」「続けるべき」と答えを押しつけるのではなく、何が苦しいのか、何を大切にしたいのかを一緒に考えていきます。医療行為や診断、勤務先との交渉を代わりに行うサービスではありません。
必要と感じたときの選択肢として、30日間LINE文章伴奏の内容・料金をご覧ください。文章で相談するイメージを知りたい方には、やり取りの紹介ページもあります。







